語蔵とは
語蔵(ごぞう)は、読書の中で初めて出会った表現のうち、自身の創作活動に「使える」ものをTODOリスト形式で管理する、アウトプット志向の語彙記録アプリです。
対象としているのは、プロまたはプロを目指す表現者です。ここでいう表現者とは、現役の作家、翻訳家、Webライター、ジャーナリスト、編集者、研究者、作家志望の人まで様々。語蔵は、言葉を使って考え、伝え、書く人の語彙力と表現力を、実際のアウトプットに近い場所で支えるために作っています。
さて、世の中には語彙アプリや単語帳アプリが数多くあります。しかし、その多くは「覚える」「復習する」「テストする」といった学習に留まっています。もちろん学習は大切です。ただ、表現者にとって本当に必要なのは、言葉を知っていることではなく、作品や原稿の中で使えることです。
言葉は、自分で使えてこそはじめて「習得した」と言えます。意味を知っているだけ、どこかで見たことがあるだけでは、いざ文章を書くときの力にはなかなか変わりません。語蔵が目指しているのは、試験の点数を上げることではなく、表現者が自分の文章で選べる言葉を増やすことです。
読書中に出会った印象的な言葉、記事や論文で見かけた便利な表現、会話の中で耳に残った言い回し。それらを一度保存しても、いざ書く場面になると「あれ、あの言葉を使いたかったんだけど、なんだっけ」と思い出せないことがあります。
開発者自身にも、そのような場面が何度もありました。意味は覚えている。雰囲気も覚えている。けれど、肝心の言葉だけが出てこない。辞書やメモアプリやブックマークを探し回っているうちに、書きたかった文章の熱が冷めてしまう。語蔵は、そういう小さな不便から出発しています。
語蔵で記録するのは、単なる単語帳ではありません。語彙、読み、意味、例文、出典、ページ、メモをまとめて残し、その言葉を「いつか覚える」ためではなく、「いつか自分の作品で使う」ために管理します。そして実際に使ったら、TODOリストのようにチェックする。語蔵は、言葉をインプットで終わらせず、アウトプットへ渡すための執筆補助ツールです。
最後に、このアプリ自体も、AIの力を借りて作られています。開発者はコードを一行も書いていません。だからこそ、AIの便利さは否定しません。ただし、便利さと面白さは同じではありません。AIは大量のデータから学習しますが、そのデータを生み出しているのは、いつだって先に言葉を選び、迷い、書いてきた人間です。
処理能力や検索能力では、AIが人間を上回る場面はこれからますます増えていくはずです。それでも、文学や創作の中心にある経験、違和感、執着、ためらい、怒り、祈りのような切実さは、人間の側にあります。古典や名作には、先人たちが残し、積み上げ、磨き上げてきた言葉があります。語蔵は、AIに言葉を明け渡すためのアプリではありません。書く人が自分の言葉を増やし、自分の作品に使える表現を育て、AIの時代にもなお人間の文章で勝負するための場所です。